産業安全上における「安全」とは「働いている人々が傷つく事故がなく、材料・設備や製品も損傷被害を受けておらず、また将来においてもその恐れがない状態にまで管理されている理想的な環境や状態」のことを言います。そして、「労働衛生」は「職場から衛生上の悪条件を排除し、労働者の健康を保持すること。広義には職場以外のあらゆる労働者の生活をも健康的なものにすること」を目的としています。

企業や個人に求められる安全衛生の責任と義務

近年は機械による労働の自動化、法整備などにより、危険や有害な作業や環境が減少しています。しかし、毎年50万人を超える多くの労働者が怪我や業務上の疾病を負い、実に9,000人以上の尊い労働者が毎年命を失っています。

私たちは、職場に潜在する危険や有害な要因を排除し、事故や災害を発生させないようにしなければなりません。また、そこで働く人たちの心身の健康を損なわせない「安全で快適な職場」を築き上げていく責任と義務を求められています。

作業現場等における危険性に対する対応力の低下

労働災害は、ここ数年において減少率が鈍化し、最近は一時に3人以上の死傷者をともなう災害が増加傾向にあります。

職場における事故や災害の状況においても、関係者の危険性に対する「感受性(危険を想定する力)と対応能力の低下」が指摘されています。この対応能力の低下の要因は、熟練技術者の退職等による技術・技能の伝承に問題があることがあげられます。また、昔のように身近で事故や災害者に会う機会が減少したことによる、安全活動への油断が指摘されています。

このような安全衛生に対する意識や認識の薄れと、危険性に対する感受性や対応能力の低下が要因となり、思わぬ重大な事故や災害を起こす原因となっていると推察されます。

「ヒヤリ・ハット」は事故だという認識が必要

労働災害の定義として「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することをいう」と具体的に表現しています。

たとえ、負傷や死亡などの大きな災害に至らずとも、作業中の「ヒヤリ・ハット」はすでに事故であるという認識をもつことで、職場の「不安全な要因」の排除と改善を進める重要な認識となります。