高温多湿の夏季は事故や災害が多くなる時期でもあります。このような時期に特に注意が必要な事項について解説します。

夏季の作業活動ポイント

暑い時期は、心身の疲労が溜まりやすく注意散漫になりがちです。また、普段使用している機械や設備も温度や湿度の上昇が原因でトラブルを発生しやすくなります。このような理由から、夏季は思わぬ事故やトラブルが発生するケースが少なくありません。

安全管理・作業の面では、特に次の5つのポイントに注意が必要です。

①心身の不調で「うっかりミス」を起こしやすい。決められた手順を確実に行うとともに、指差し呼称で安全確認をしっかりと行うなど、作業行動に注意を払う。

②高温・多湿な環境における電機設備の絶縁劣化の危険性に加え、設備を取り扱う作業者の身体が汗などで濡れていると感電を起こす恐れがあるため一層の注意が必要です。

③夏場は衣服が薄く、肌の露出が多くなります。したがって他の季節にくらべて火傷や薬品による薬傷などを受けやすいため、暑いことを理由に定められた服装の着用を省略することがないようにします。

④高温・多湿が原因で、危険で有害なガスや蒸気が発散、漏洩する危険性が高まる時期でもあります。特に高圧ガスは40度以下の環境に保つことが、ガス膨張による漏洩や、容器の破損を防ぐことにつながります。

⑤設備や機械等の作業前後の点検・整備の手抜きは厳禁。特に夏場はいつにも増してしっかりと点検・整備を行う。

夏の労働衛生で大切なこととは

高温多湿の夏場は、体調を崩す作業者も多くなる時期です。労働衛生の観点からも、この時期は他の季節とは異なる着眼点と労働衛生対策が必要となります。

以下、5つの事項について注意と対策を怠らないようにしましょう。

①高温かつ高熱な作業場、また炎天下における作業については熱中症に配慮した作業環境の管理や健康管理を怠らない。

②冷房による過度な室温低下は、体調を崩して風邪や高血圧等の循環器系障害や消化器等の不調を引き起こす原因となります。また、有害物を取り扱う職場では冷房のために部屋を締め切ったままでいると、有害物が室内に蓄積し危険な状況を誘発します。適度な換気を行いましょう。

③薄着により、有害物や高熱物が直接皮膚に接触することで傷害や火傷などの事故につながることが多く見られます。保護具、保護衣の正しい着用を徹底する。

④食欲不振や睡眠不足による体力低下、食中毒にも十分注意します。

⑤暑さを理由に、体を動かさないと新陳代謝が悪くなり一層健康を害します。適度な運動を心がけることが大切です。