労働者の安全衛生法の順守義務

労働安全衛生法は労働災害を防止するための基本となる法律です。これらを順守する義務は、事業者のみならず労働者に対しても義務付けをされています。

①機械等の安全装置を勝手に取り外したりしないこと
②自分や同僚の安全確保を積極的に行うこと
③高所から物を投下したりする等の危険な行為を行わないこと
④高所への昇降などは定められた昇降設備を使用すること
⑤機械などに接触する恐れがある作業の場合は、安全な治具・工具を使用すること
⑥高所等での安全帯や保護帽の使用・着用。有害業務での保護マスク等の使用など
⑦運転中に機械等に乗ったり降りたり手を入れたりしないこと
⑧有資格者が行う機械等の運転を無資格で行わないこと
⑨立ち入り禁止区域、危険・有害な場所へみだりに出入りしないこと
⑩車両等の運転では制限速度を守ること

これら、安全衛生法で定められた項目以外にも各作業場で定められた安全規範やルールは必ず守ることが義務付けられています。

免許・技能等の有資格者における責任

フォークリフトやクレーン、建設重機や特定化学物質など、危険性・有害性の高いものを取り扱う作業においては、労働安全衛生法等によって免許取得者や技能講習、特別教育等の修了者でなければ当該作業に就いてはならないと定められています。

これらの資格のほとんどは、一度取得すると生涯有効となる資格が多くありますが、残念ながら資格を持っているだけで、知識や技能が伴わない人が一定数いるのが現状です。最も大切なことは、資格を持っているという事ではなく、時間が経過しても常にその資格に準じた知識や技能を発揮し、安全で正しい作業を遂行できることです。また、資格者としての責務を果たすのに加え、常に自分の知識や技能を磨くことを怠らず、周囲の模範となる作業態度を示していくこと重要です。

なお、免許等の有資格者がその作業で事故等を起こした場合「業務上過失罪」が適用されて、無資格者が事故で追求される罪よりも重くなることがあります。
有資格者はその責任を十分に果たす義務があることを念頭において作業に従事することを求められています。

労働安全衛生マネジメントシステムの推進について

安全衛生管理の質を高め、さらなる労働災害の減少を図るために、多くの事業場で「労働安全衛生マネジメントシステム」が導入されています。このシステムは、職場の安全衛生管理・活動をより効果的、効率的に推進していくために事業場単位で、「計画・実施・評価・改善」の4点を軸に定められています。

①【計画】は、これまでの実績や将来の危険予測等を元にして、計画を策定する
②【実施】は、策定された計画を元に実施する
③【評価】は、業務が計画通りに進んでいるかを確認・評価する
④【改善】は、計画通りに実施されていない部分について調査・改善措置を行う

これら4点を1サイクルとして、繰り返し行っていくことにより問題を継続的に発見および改善をしていくものです。なお、この管理・活動の中核を成しているものがリスクアセスメントであり、労働安全衛生法でも実施が定められています。