体調不良を感じたら早期に対応

近年では、タクシーやバス、長距離運送などのドライバー体調不良による交通事故が、高齢者の心身機能の低下による事故と並んで大きな社会問題となっています。
国土交通省に報告された職業運転者の事故事例を解析したところ、運転中の体調変化として脳卒中が28.4%、心臓疾患が23.2%にのぼり、この2点が運転中の体調異変の半分以上を占めていました。尚、これらの疾患に共通している要因は高血圧症でした。
特に職業運転者は運転に従事する時間が長く、精神的・肉体的ストレスにさらされていることから血圧も上昇しやすく、必然的に運転中の病気発症頻度も高くなる傾向にあります。
これらのことは、職業運転者に限らず、工場や建設現場等で働く人たち共通の問題となっています。日頃から健康管理に気をつけると同時に、体調に異変を感じたら速やかに上司等に体の状態を伝え、直ちに休息をとったり医師の診察を受けるなどの措置が必要です。

睡眠の質をあげて体調管理

厚生労働省が実施した国民の睡眠に関する調査によると、中高年齢者の半数以上が「睡眠の時間や睡眠の質」のことで悩んでいることが分かりました。
不適切な睡眠は、治療や対策が必要であるにもかかわらず、見かけで健康であることから見過ごされることになり、それが蓄積することで病気や事故に繋がっています。
「労働時間や仕事の出来栄えに注意を払うのと同様に、働く人の睡眠時間と睡眠の質を重視すべきだ」と、専門家は忠告しています。

健康な眠りと目覚めの確保、睡眠の健康度合いを高めるために
①朝は決まった時間に起きる
②寝る前にリラックスできる工夫をする
③眠りやすい寝室環境をつくる
④わずかな昼寝をすることが午後の仕事効率を高める
⑤眠れない日が長く続く場合は医師の診察をうける

メンタルヘルス対策の重要性

職場や仕事で強い不安や悩み、ストレスを感じる人は約6割と言われています。近年、仕事の負荷と精神疾患の発症に関連性が高い場合は労災として認定されるようになり、企業の安全配慮義務の観点からもメンタルヘルス対策は大変重要となってきています。

過大なストレスは心身に様々な影響を与えます。高血圧や糖尿病など生活習慣病が悪化するほか、胃潰瘍、心筋梗塞などが挙げられています。また、不安感やイライラ、意欲低下、不眠、アルコール依存症やギャンブル依存症に進む危険性もあります。

平成26年のメンタルヘルス対策の強化を含む労働安全衛生法の改正が行われ、ストレスチェックなどでストレスマネジメントの向上が図られるようになりました。
メンタルの不調は本人だけでなく、職場の人間関係を悪くし、事故や災害の原因にもなりかねません。メンタルヘルス対策には現場全体で真剣に取り組む必要が迫られています。