安全衛生法は、労働の場における労働災害防止のため、危害防止基準の確立、責任体制の明確化および自主的活動の促進措置を講ずる等、総合的、計画的な安全対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的とします。

安全衛生法が適用される労働者について

同居の親族のみを使用する事業を除き、原則として労働者を使用する全事業について適用されます。ただし、以下の者には不適用になると記されています。

1)家事使用人

2)船員法が適用される船員

3)非現業の一般職の国家公務員

安全衛生法の適用単位

各事業場ごとの業種や規模に応じて、安全衛生管理体制、工事計画届等を適用します。事業場は、一定の場所において関連する組織の下に継続的に行われる作業の全体を指します。

ひとつの事業場であるかどうかの判断は、作業を行う場所を基準にして決定されます。

したがって原則、同一の場所にあるものはひとつの事業場とし、場所が分散されているものについては別の事業場として定義されます。

業種区分について

事業場の業種区分は、業態によって個別に決定されます。経営や人事管理を行なっている本社、支店等については各事業場とは異なるものとして区分されます。

事業者の定義

事業者とは事業を行うものであり、労働者を使用する者をいいます。個人企業であれば、その代表者。法人企業であれば法人そのものをいいます。

労働基準法の義務主体は「使用者」であり、使用者とは、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいいます(労働基準法10)

安全衛生法は、義務の主体を事業経営の利益の帰属主体である事業者であると定めることにより、責任の所在を明確にしています。

労働者の定義

労働者は労働基準法9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業または事務所に使用される者および家事使用人を除く)をいいます。

安全衛生法上の労働者であるかは、事業または事務所に「使用される」者であり、その対象として「賃金」が支払われているものであることが要件となっています。

罰則の適用について

安全衛生法122条に基づき、当該違反事実の実行行為者に対して適用されるほか、事業者たる法人または個人に対しても罰金刑が課せられます。

ここでいう実行行為者とは、当該違反事実が発生しないように措置を講ずべき権限と責任を有するものであり、当該措置を講じなかった者を指します。