安全衛生法では、事業者と労働者の関係において全ての業種共通の安全衛生管理体制と、請負契約に着目した特定事業(建設業、造船業)における統括安全衛生管理体制を定めています。

安全衛生管理体制は、事業場の業種、常時使用する労働者の人数等を考慮し、組織的かつ計画的に実施する必要があります。各衛生担当者にそれぞれの職務を行わせることで、一定の責任が生じ事業場全体に安全衛生を徹底させることが可能となります。

安全衛生管理体制の要点

■安全管理体制は事業場を単位として設置を行う

■安全管理者、衛生管理者、産業医の選任において、常時労働の対象であれば、パート、アルバイト、派遣労働者等も含むことが可能

■安全管理者、衛生管理者、産業医には職務遂行上の権限を与える

■安全管理者、衛生管理者の「専任」が必要な場合においては、専らその業務に従事することが求められる

各衛生担当者の具体的な職務について

安全管理者の職務

安全管理者は、安全に関する技術的事項を職務とします。作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険が認められるときは、直ちに、危険防止のための措置を講じなければなりません。

衛生管理者の職務

衛生管理者は、衛生に関する技術的事項を担当するほか、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し健康に異常のある者の発見および、処置等の措置を行わなければならない。具体的には、健康に異常がある者の発見および処置、作業環境の衛生上の調査、作業条件、施設等の衛生上の改善等が必要であるとされています。

産業医の職務

①産業医は、事業場で産業医学に関する専門的な知識を持つ者として、健康診断の実施と事後措置、長時間労働者等への面接指導の実施と事後措置、事業者への助言・指導等を含め、労働者の健康管理を行うとともに、少なくとも月1回異常作業場等の巡視を行わなければならない。

なお、近年では産業医活動の問題点として、産業医に作業場の巡視等その他の職務を十分に行わせていない事業場があることが指摘されています。

過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策等産業医活動の重要性が高まっているため、事業者は産業医の活動が効果的に行われるよう措置を講ずる必要があります。

②規模50人未満の事業場においても、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師、保健師に健康管理を行わせるように務めなければなりません。この場合、労働基準監督署単位で設置されている地域産業保健センターを活用することも可能となっています。