災害防止活動は作業を進めていく上で大変重要です。ただ、災害防止といっても、まだ起きていない災害は目には見えず、具体的に存在しているわけではありません。災害の危険を回避するために「5つの危険」を意識し、災害防止に役立てていただけたらと思います。

災害防止活動の具体的内容

たとえば、高所での作業中になにかしらの物が落下してきた場合について考えてみます。落下物の真下に人がいて頭部に直撃をうけた場合は「災害」。一方で、物が作業車に落下して車の屋根がへこんでしまった場合は「事故」として扱います。

ハインリッヒの法則とは

災害と事故の関連については、アメリカの安全技師ハインリッヒが発表した「1:29:300の法則」が有名です。

一回の重傷災害が発生したとすると、その人は同様の原因で29回の軽症災害を起こす。加えて、同様の性質である無傷災害事故を300回伴っているというものです。

ハインリッヒの法則

上記の図は「ハインリッヒの法則」を示したものです。重傷災害の底辺には多数の軽傷災害と無傷害災害が存在し、またその下には無数の不安全行動および、不安全な状態があることを表しています。

労働の場に存在する「5つの危険」

労働安全衛生法では、事業者は以下の5つの危険について必要な措置を講じなければならないと規定しています。(第20条、第21条第1項、第2項)

<< 5つの危険概要 >>

① 機械的危険

機械および器具、またはその他設備により発生する危険を指します。

② 科学的危険

爆発性、発火性、引火性の危険物により引き起こされる危険な状況。また、毒物や刺激物による中毒などの生理的危険についてを指します。

③ エネルギー危険

1)電気的危険:感電や発熱、発火などがあげられます。電気設備にかんしては充電部分での感電や、加熱や漏電による火災。静電気を原因とした発火などがあります。

2)熱、その他:なんらかの原因による火災、高温物体への接触による火傷。尚、放射能の大量被爆による傷害に関してもエネルギー危険に属しています。

④ 作業的危険

屋外作業における土砂くずれ、積荷作業における荷物の崩落などがあります。このような作業的危険に属するものは無数に存在し、特に建設業、運送業、林業などの作業中に多く認められます。

⑤ 行動危険

作業現場全般における、人間の作業行動すべてへの危険を指します。上記① 〜 ④ すべての危険によるものの他に、意識するべきは、「人の不安全行動」そのものに行動危険が含まれています。

<あわせて読みたい>
安全に関して企業に責任を課せられる「安全配慮義務」については以下の記事にまとめてあります。

企業に課せられる安全義務【安全配慮義務】とは

5つの危険に対し災害防止をするために

作業現場は常に危険な状況が起きやすいといえます。危険な状況とはどのような事かを、しっかりと理解して的確な防止措置を講じることを意識する必要があります。ただ、実際に災害が発生するときには、ひとつの危険が原因で発生するとは限りません。複数の原因が重なりあって事故や災害などになるケースがほとんどです。各作業現場で常に現場における危険箇所・危険状況に注意しながら作業をすることで、安全な現場を作りだすことができます。