労働災害が発生してしまうと、企業は『安全配慮義務』を問われることになります。企業は、以下の5つの危険を取り除き安全に配慮することで、労働者の安全確保を義務付けられています。

  1. 機械的危険
  2. 科学的危険
  3. エネルギー危険
  4. 作業的危険
  5. 行動危険

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「5つの危険」と具体的な防止行動とは

労働災害が発生した場合に企業が問われること

企業は積極的な安全衛生管理活動を行い、労働者が安全安心かつ健康な状態で仕事をできる環境に配慮しなければなりません。

不幸にして、労働災害が発生してしまった場合には、企業が加入している労災保険に対して規定の保証に関する請求をすることが可能です。あわせて、民事上の請求権に基づき、災害を被った側(主に作業者・労働者)から企業に対して損害賠償を求めることが可能であり、このような事案が全国で多数出ています。

この損害賠償請求には、不法行為責任(労働災害発生が、経営者およびその使用人の故意や過失があった場合)に加え、「安全配慮義務違反」を問われる事案が多くあります。

『安全配慮義務』とは何か

安全配慮義務に関しては労働契約法の第5条に定められています。

<労働契約法 第5条(労働者の安全への配慮) 条文>

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

また安全配慮義務に関しては以下の判決が下されています。

使用者の設置に係る場所・施設もしくは危機等の設置管理または使用者の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、労働者の生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(最高判決、昭和50.2.25 自衛隊八戸駐とん隊事件)

この判例では、労働者が職務中に死亡してしまった事件・事故に対するものであり、どのように労働者の安全を守るかを考える契機となりました。

企業は労働者を保護する義務があります

企業は、労働の提供に対して給与などを支払う義務を負いますが、それだけではなく労働を提供する際の「労働者自身の体、および生命への危険」から労働者を保護する義務も負っています。労働環境上で危険を予知できるものに関しては、法令の定めの有無に関係なく、適切な措置を取っていなければ、企業は民法上の責任を負うことになります。

尚、安全配慮義務には具体的な災害や危険に対する配慮が適切にされていることだけでなく、労働者に対して事前に安全教育を施すことや、作業指示を具体的かつ速やかに行い、危険を回避するよう促すことも含まれます。