作業手順の見直しと準備

作業手順書は作業の中のムダ・ムラ・ムリを排除して、作業手順通りに作業を行えば、安全に、正しく、早く、かつ疲労を最小限に抑え、作業効率の向上や品質の安定にも役立つものです。

したがって、作業手順書は、次の8つの条件を備えて、作業に役立つことが求められます。問題があればただちに改善が必要になります。

①作業手順書に沿って作業を行えば、事故や疲労が発生しないものであること
②作業標準や技術指標などと互いに整合性があること
③作業の内容を正しく分解して作成し、実行可能なものであること
④作業の手順でムダ・ムラ・ムリを改善したものであること
⑤高度の熟練や注意力に頼るものでなく、新任者でも実施できるものであること
⑥法令遵守を保証するものであること
⑦作業を安全に行う条件を保証するものであること
⑧見直し改定の方法が決められており適正に行われていること

作業手順書の意義と活用                          

作業手順書(作業マニュアル)は、作業の安全性と品質、効率向上に欠かせないものです。しかし、作業方法等が目まぐるしく変わる昨今においては作業手順書の作成や見直しが追いつかないまま、作業手順の省略や慣れに頼った作業方法で思わぬ事故や災害が発生しています。

作業者全員が安全に作業を進めるためには、設備や機械の作業方法を標準化し、ヒューマンエラー等を考慮して安全な作業方法を定め、これを守ることによって、災害やトラブルの防止を図っていくことが大切です。

作業手順書の見直し整備にあたっては、現場の作業手順で問題が無かったか、どんな危険が潜んでいるかを洗い出し、その行動に対して適切な作業方法や安全対策を示して作業の安全化と適正化に結びつけていくことが重要です。

非定常作業の作業手順

労働災害は、作業手順書が定められていない突発的な非定常作業において多く発生しています。突発的な作業は、前もって作業手順を作ったり教育訓練が困難です。したがって非定常作業は、定常作業に比べてより広く深い知識や判断力を要求されることが多くなります。

関連作業者の職務能力を事前に評価把握しておき、作業に必要な知識と技能を十分に持った適任者を選ぶことが必要です。非定常作業等の作業計画の作成に当たっての留意点は、管理監督者やリーダーが、的確な状況把握をして、対応する作業の「作業計画」「作業分担」「作業手順」「作業の急所」などを説明し、確実に関係者に周知徹底することです。

尚、緊急発生した非定常作業では、機械や設備の稼働を停止せずに行うことがあります。このような場合においても危険性を排除する手順書を作成し、作業者全員で共有し守ることが必要です。