老朽化した設備の保守管理について

厚生労働省は平成28年度における鉄鋼業の設備の状態と労働災害の発生状況について調査を行ったところ、災害発生数は使用年数が経過し、劣化が進んだ設備数に比例して発生していることが明らかになりました。
調査結果によると、生産設備等の設置後30年以上経過した設備のうち、40年以上経過した設備は77%を占めていました。全体として設備の高経年化が進んでいることや、設備の経年数が長くなるにつれて著しく劣化している設備の割合が増加する傾向が明らかとなっています。
厚生労働省では、設備の経年および劣化が事故や労働災害に結びつくことが他の産業でも同様に考えられるとして、年数を経て古くなった設備は、計画的な設備の更新、優先順位をつけた設備の定期的な点検・保守党の実施を促していく方針を出しています。現場においても古くなった設備や機械等の危険性については関心が薄く、慣れによる油断で保守・点検等の管理がおろそかになることが少なくありません。老朽化した設備に関しては業界問わず一層の注意を払うことが必要です。

落下物による事故・災害の防止措置

高所の架台や足場からの落下物による事故や災害の防止について、これまででも高速道路で積荷が落下して、後続車の運転手が死亡、建築現場の足場から落下した鉄パイプで歩行者が死亡、高速自動車道のトンネルの天井パネルが落下してバスが下敷きになり数名が死亡など、落下物での事故は場所を問わず後を絶ちません。
次に挙げる7項目の落下事故・災害防止対策の徹底を図ることで、落下物による事故を防ぐ必要があります。

①高所から物を投げ下ろす作業は原則禁止をする
②高所の物品は落下しないように固定をし、高所の床などは整理・整頓・清掃を徹底する
③高所で使用中の工具などは常に落下防止措置を行う
④飛来・落下の恐れがある作業では・養生ネット・シートなどの防護設備を活用する
⑤落下物による頭部の怪我防止のため適切な保護帽を着用する
⑥物の落下の恐れがある作業場所では立ち入り禁止の措置、または監視人の配置を適切に行う
⑦上下作業は避けるように作業調整を行う

これらの対策を講じて事故や災害を防ぐ必要があります。

「挟まれ・巻き込まれ」災害の防止措置

「挟まれ、巻き込まれ」による災害は、死亡労働災害全体の16%を占めているとのデータが出ています。これらの災害における作業者の行動を分析してみると以下のような不安全行動が見られました。

①駆動部分のカバーを取り外したままにしていた
②安全装置の機能を切っていた
③機械等を動かしたまま注油や調整、ゴミなどを除去するため手を入れた
④製品自体や材料が上手く機能しなかったため、必要な措置をぜずに手を出した
⑤協力作業者との連絡やコミュニケーションが悪く予期せず機械や装置が動いた

などがほとんどの原因となっています。

このような不安全な行動をしてしまった理由は「機械を止めることが面倒であった」、「慣れているから問題ないと考えていた」、「急いでいた」、「今までも同じことをしていたが問題が起きていなかった」、「他の作業者もやっていた」などです。
最初は危険だと認識していても、不安全な行動を重ねているうちにやがて習慣となってしまってしまい常習化していることが原因として挙げられています。
「挟まれ・巻き込まれ災害」の防止で効果が高いのは「機械のカバーなどを外したら自動で機械が停止するような安全装置を装備すること」などが挙げられますが、根本的には作業者が機械運転中に手を出さない意識を徹底すること。そして、そもそもの機械故障やトラブルが発生しないよう、設備の整備をしっかりと実施することが重要です。