火災発生時の緊急処置

職場で予期せぬ火災や爆発が発生した際は緊急に処置を行う必要があります。特に工場や建設現場などの事故で最も多いとされるのは火災です。火災が身近な場所で急に発生した場合、誰もが気が動転し適切な行動がとれないのが現実です。いざ火災が発生した際には現場の作業員全員が次のような行動を取れるように心の準備をしておく必要があります。

火災が発生したら

①一人で火を消そうとせず、大声で付近の人に援助を求める
②火災報知機を鳴らし消防署等に通知する
③運転中の機械や設備等を速やかに停止する
④火災現場では現場責任者の指示に従い行動する
⑤火災の種類に応じた消火器を適切な手順で使用する
⑥消火のために放水を行う際は消防指揮者の指示を受けた上で行う
⑦煙にまかれてしまったら、地面(床)を這うように逃げる
⑧他所で火災等が発生した場合、二次被害防止のため原則として指示があるまで持ち場を離れない(状況により緊急時マニュアルに準じた行動をする)

日頃から職場の火災等の緊急事態を想定した「火災発生時における緊急行動基準マニュアル」を作成し、教育や訓練を重ねておくことが重要になります。

他者の緊急事態に対処する救急処置を身につけよう

交通事故、怪我、病気や地震などの天災等、いつ、どこで他者の事故や急病に遭遇し、生命を左右しかねない救急処置を行う当事者になるのかわかりません。適切な救急処置は患者の症状悪化を防ぎ、苦痛をやわらげるなども可能です。

ただ、緊急処置に関する十分な知識や技術を日頃から身につけておかないと、いざというときに適切な行動を取ることができません。次の7項目の救急処置の基本的な心得を念頭において、迅速および適切な救急処置ができるように準備しておきましょう。

①決してあわてない。状況を確認して冷静沈着に行動する
②酸欠事故等、目に見えずらい事故の場合は自分も被害にあわないよう十分注意を払う
③周りの人に協力を依頼し、救急車等を手配する
④安全な場所であれば患者を動かさない
⑤衣服は楽な状態にして、保温に気を使う
⑥意識のある患者には安心させるような言葉をかけ、元気づける
⑦呼吸や心臓の停止、大量出血等が認められる場合には必要な応急処置を速やかに行う

緊急事態後の作業再開に関する安全心得

職場での事故や災害などの緊急事態が発生した後は、的確な処置と作業行動について事前に想定しておくことが安全確保の重要な鍵となります。

突然職場で火災などが発生した場合「正しい緊急行動がとれなかった」と答える事例は非常に多いようです。米国の研究者が原子力発電所の安全性を予測した報告内で「発電所で大事故が発生すると、運転員はそのストレスのためパニック状態となり、最初の30分間の行動エラーは90%にまで及ぶ。つまりほとんどの行動が間違ってしまうことになる」と報告があります。

人はまったく予測しない緊急事態に遭遇すると(特に緊急事態未経験者の多く)はパニック状態となり、異常行動に走ってしまうと結論づけられています。

このことから職場で地震や火災などの緊急事態が発生した時、誰もが間違いを起こしやすいことを前提に職場の非常用装置などを見直しつつ、緊急時のマニュアル作成を検討して、パニックの中においても職場の全員ができるだけ正しい行動がとれるように、教育・訓練を重ねておく必要があります。